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【座談】演奏会を終えて

はい、ということで、無事に8月の演奏会が終わりました。お二人も、いかがでしたか?

今回はオール日本語ということで、親しみやすいコンサートだったと思うんですけど。とはいえ、淡彩抄を扱ったり、山田耕筰でもあまり演奏されない歌曲を扱ったので、なかなか内容の濃いプログラムだったんじゃないかなと思うんですけど。

うん。そうだね。でも伊藤さんが歌った「中国地方の子守唄」や、「君がため織る綾錦」は聴きやすいし、スッと入ってくるイイ曲よね。

小田さん、「中国地方」アレお気に入りですよね。

うん、岡山だし。個人的に親近感のある曲です。

小田さんは岡山にゆかりがあるんだっけ?

や、香川県だから近いってだけ。香川からしたら仲間みたいなもんだからね。 二人は浴衣で演奏するということについて、歌いづらいとか何かありましたか?

あのね、めっちゃ歌いやすかった!本当に。

腰が安定しますよね。男性は特に。

あんまりそういう意識はなかったんだけど、とにかく軽い!スーツやタキシードに比べたらずっと軽くて、動きやすかった。

木川さん、浴衣決まってましたね。貫禄あるって言われてましたよ。

典型的な日本人体型だからね。これからも機会があればどんどん着て歌いたいと思ってます。

小田さんはピアノ、弾きづらかったんでしょ?

弾きづらかったですね。思いの外、袖の下が長いからコントロールしづらいし、草履でペダルが踏みづらかった…。

じゃあ草履は特注しないとね。袖はたすき掛けするとかどう?

いや、うん。まあねえ。(苦笑)伊藤さんはどうだったの?

女性は上の方で帯を結ぶので、呼吸がかなり心配でしたね。着付けてもらう時も、はだけない程度に、だけどちょっと余裕を持って結んでもらいました。

俺はYoutube見ながら自分で着付けしました。結構奇跡的な出来だったと思います。

お客さんからの浴衣の印象はどうでしたか?

ドレスとは違った華やかさがあるので、新鮮だし、何よりも涼しげだったとたくさんの意見をいただきました。今回浴衣にしてよかったです。

今回の曲目について、二人とも何か思い入れのある曲はありますか?

僕はトークでも喋ったんだけど、「しあわせよカタツムリにのって」はプログラムの最後に解説付きで演奏してよかったと思っていて…。それは今の自分ともよく当てはまるというのが大きな理由ですね。例えば、暑い日に100円で飲み物を買って「ぷはー!」という幸せと、お盆に家族みんなに会ってなんとなく過ごす時間の幸せの2種類があるとしたら、後者の幸せを大切にしたいというのがこの詩で言われていることだと思うんだよね。シンプルに言うと、お金で買える幸せと買えない幸せとも言えるのかもしれませんが、これを伴奏合わせの時とかに木川さんや伊藤さんと話した時、じゃあこれを表現するためにテンポがもう少し遅い方がいいよねとか、この曲の情感はこうしたら出るかもとか、こういう伴奏合わせができる仲間がいることも幸せですし、そういう当たり前のような幸せを大事にしたいと思い直させてくれた曲というか…。まとまらずすみません…。

私は山田耕筰の作品は特に大事に歌いました。年号が変わって令和になって、新しい時代になっても古き良き歌をしっかり歌い継いで行きたいなと思っているので、日本の懐かしい風景とか小さい頃の優しい思い出を胸に歌いました。 武満徹の「小さな空」は本番で歌うといろいろな感情が湧き上がってきてしまい、特に木川さんが歌った「死んだ男の残したものは」の後だったので、お客さんの方をしっかりみてしまうと感情がどっぷり世界観に入りすぎてしまいそうでした。微妙な客観の部分と主観の部分のバランスを大切に歌いました。

俺は今回、何かひとつを選べなくて。ただ、「この道」や「かやの木山の」など、それこそ音大受験生だった頃から何回も舞台で歌ってきた曲が、今この歳になっても新しい感情や解釈が生まれてくることに改めて大きな喜びを感じました。「この道」は今回伴奏合わせをしている時に、自分の小さな子供の手を引いて、昔話をしているような、そんな感情が初めて浮かんできて、自分の歳も実感しました(笑)
別宮貞雄の「淡彩抄」は今回、1曲目の「泡」と3曲目の「入墨子」だけでしたが、改めて全曲楽譜を読んでみて、いずれ全曲演奏会で取り上げたいという想いが強くなりました。
「死んだ男の残したものは」は、強烈なエネルギーを持っていて、練習中は感情が入りすぎて歌えなくなってしまうことが多かったのですが、ある時からふと自分の中が無になって、「あれ、こういう解釈もありなんだろうか…」と思ったりもして。結局まだ自分の中で、どう演奏するべきだったのか、という迷いは消えません。でも、これらのような作品を演奏する場所として、今回のようなサロンはぴったりだったように思います。

今回会場としてお借りしたのが、西船橋の「コンサートサロンアルカス(https://alkas-salon.com/)」でした。素晴らしい会場でしたね。お客様の顔を一人ひとり見ることが出来て、響きも素晴らしいし、温かい空間を演出してくれたと思います。

想像以上によく響く、でも響きすぎることもなく、歌い手としては大変助けられるありがたい会場でした。ぜひまた演奏しに伺いたいです。ピアノはどうだったの?

ピアノについてはオーナーさんとお話をさせていただいたりもして、スタインウェイでしっかりとしたタッチが印象的でした。中古で購入された際に本当に丁寧なリペアをされたとおっしゃってて、だから響きも重厚なんだけど、見た目も美しい。管理もとても丁寧にされていて、すごく良いピアノだったなあ。

私もオーナーさんと少しお話しさせていただきましたが、会場全体、本当に細部までこだわっていらっしゃいました。特にお客さん用の椅子、抜群に心地よいです!
音楽に理解があり、何よりも音楽に深い愛情を持っていらっしゃるステキなオーナーさんでした。ありがとうございました!

私たち、mu-shipとして大事にしていかなきゃいけないことは、馴染みの曲はもちろん扱っていくとして、たとえ、馴染みがなくても、音楽の力、そして私たちが学んできた知識を解説だったり、演奏に生かすことで、大きい会場、遠い会場に行けなくても素晴らしい音楽が聴けるっていうことだと思うので今回はまさにそういう演奏会だったと思います。

8月の演奏会の振り返りもここまでということで。次回は12月に埼玉県は所沢でクリスマスコンサートを企画しています。mu-shipの3人に加えて、メゾソプラノの千葉なつみさんにも出演していただきます。小田さんはようやく歌うみたいですよ!お楽しみに!