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【座談】 山田耕筰:かやの木山の ①

作詩:北原白秋(1885-1942) 作曲:山田耕筰(1886-1965)
1922年に発表され、北原白秋と山田耕筰の最初の共同作品。今なお、幅広い世代に愛される名曲

今回は山田耕筰の「かやの木山の」を持ってきました。早速ですが、この曲って伊藤さんや小田さんにとってどういうイメージですか?

毎年芸大(学部)の入試課題曲に入ってるイメージです。

どうなんだろう、まあ毎年入試で歌われるイメージだよねー。

俺も最初は受験のためにやったのよ。

僕も。

で、入試の時についてた先生に「この曲は、姥捨山に捨てられたおばあさんの最期の1日だ」って言われたのね。でも、実際大学に入ってから同級生とかに話を聞くと、あんまりこういう解釈で習ったという人がいなかった。二人はこういう曲の背景について聞いたことある?

あんまりマイナスなイメージはこの曲にはなかったから聞いたことない。たしかに歌詞の意味とかは自分で調べたけど、背景は、うーん。昔話とか日本の古いお話とかって聞いたことないなー。

僕は少し聞いたことあるけど、そういう解釈はしてなかったな。伊藤さんと同じで、あんまりマイナスってイメージは持ってないな。

やっぱりそうなのか。俺も実際自分で調べてみるとあんまりそういう解釈って出てこなくって…。でも例えば、「もうねよよ」のところで長三和音の響きが短三和音になるところとか、何か裏を感じさせてるのかなーとか思ったりなんかして。

私は太陽が沈んでいくとか、太陽に雲が霞んで暗くなっていくのを描写してるのかなって思った。

哀愁や風景を音で描写してるんじゃないかなって。気持ちが落ち着いていく様子、眠りに誘われていくようなものも……。

なるほど。解釈って本当に色々あるよね。

それが演奏に結びつくかどうかは別として、知っているのと知らないのとでは全然違うよね。

そうそう。曲を解釈していくにあたっては、作品が成立した時代や作品が生まれるきっかけのような確かな文脈に則った根拠にいかに辿りつけるかがとても重要なのだと思う